始めに
モロー「出現」解説を書いていきます。
背景知識、伝記
モローの遍歴
モローはウジェーヌ・ドラクロワのロマン主義の影響が顕著です。
二回のイタリア旅行を経て、ティツィアーノ、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロの作品にも触れ、ルネサンス美術や古典主義、ロマン主義から影響されつつ、作品を展開していきました。
本作も『旧約聖書』をテーマに、サロメを描いています。
本作の影響
本作はインパクトの大きな作品で、生首の現れるインパクト、『旧約聖書』を典拠にしつつ展開されるグロテスクな内容、ファム・ファタール表象など、他のクリエイターに大きな影響を与えました。
ジュール・マスネの『ヘロディアード』 、オディロン・ルドンの『洗礼者ヨハネの首と出現を持つサロメ』、ギュスターヴ・フローベールの短編小説『ヘロディアス』(『三つの物語』)、オスカー・ワイルド『サロメ』などが有名です。
とりわけワイルドの『サロメ』はビアズリーの挿絵(「サロメ」)とともに広く知られています。
絵画世界
作品内容
聖書の登場人物サロメが、洗礼者ヨハネの生首の幻視とともにヘロデ・アンティパスの前で踊っている様子が描かれます。マタイによる福音書とマルコによる福音書に語られているエピソードを下敷きにします。
『旧約聖書』において描かれるのですが、へロデ・アンティパスの誕生日の祝宴で、サロメ王女は王とその客の前で踊る。王はこれに大変喜び、サロメの望むことは何でも与えると約束します。ヘロデとの私生児であるとして洗礼者ヨハネに追及された母ヘロディアに唆されて、サロメはヨハネの首を皿に載せて要求します。ヘロデは後悔しながらも、出席者全員の前で約束を守らざるを得ず、サロメの要求に応じました。洗礼者ヨハネは斬首され、その首は皿に載せられてサロメに渡され、サロメはそれを母親に渡しました。
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